今回の勉強会のテーマは、フッ化物についてでした。
まずは、虫歯とフッ素の歴史についてお話ししてきます。
虫歯予防に効果があると言われているフッ素ですが、その予防効果が発見されたのは1900年代初頭でした。
ある地域にのみ、虫歯が少ないというデータが示されていたのです。
研究の結果、その地域の水の中に含まれていた”フッ素”が関係していることがわかりました。
それでは、どのようにしてフッ素を用いた予防をすればよいのでしょうか。
虫歯の攻撃(細菌が出す酸により歯の表面が酸性に傾いている状態)がある時、フッ素がその場にいることが大事です。
フッ素の虫歯予防効果は歯に直接フッ化物を作用させる「局所応用」が最も効果的です。
特に、全ての人に適切な基本的予防方法として、高濃度フッ化物配合歯磨剤が有効です。
日本ではフッ素濃度1450ppmの歯みがき粉を発売しており、これを「高濃度フッ素配合」と表現しています。
また、萌出後2〜3年の幼若永久歯には特に有効とされています。
フッ素の量が多すぎても身体にとって悪影響があり、歯牙フッ素症を引き起こすという側面も持ち合わせています。
歯牙フッ素症とは、歯の形成障害の一種で、歯の表面のエナメル質に白斑や縞模様などがみられるものから、実質欠損や褐色の着色を伴うものまであります。
エナメル質が作られる時期(乳歯は胎生4ヶ月〜生後11ヶ月、永久歯は誕生日〜7歳)に高濃度のフッ素を体内に取り込むことで生じます。既に萌出している歯面へのフッ素塗布や、歯磨き粉などの局所応用では発生しません。
このようなことを聞くと「フッ素って怖いものだなー」と感じてしまうかもしれません。
それではどれくらいの量を摂取してしまうと体に悪影響が出るのでしょうか?
フッ化物は自然界にも存在しており、海水、魚介類、乳製品、味噌など様々なものに含まれており、日々私たちも摂取しています。自然から摂取する量で悪影響が出ることはありません。
実際に悪影響が出る量というのは歯磨き粉のチューブを2本くらいを一気に丸呑みする量です。
歯磨き粉を一気飲みする方というのは私は見たことがありませんし、聞いたこともありません。(笑)
実際に使用する歯ブラシに乗せる量の歯磨き粉は(飲むものではないですが)、飲んでしまったとしても体に悪影響は出ないでしょう。ただし、体の小さいお子様には注意が必要です。
虫歯予防のためにフッ素の有効性を理解して、健康増進に努めましょう!
フッ素については定期検診の際にお気軽にご相談ください。